リフォームするならこのお店 --- コラム1 --- 
 
 
 
 
 
   
 
   
  「まったく、どうしてこんなろくでもないことばかり起こるのだろうか?」
ある営業マンは今日も何かをぼやいていた。彼はある住宅設備機器メーカーの中堅営業マン。毎日起こるトラブルに、常に頭を抱えている。 
近年の住宅設備機器業界は、システムキッチンやシステムバスの普及に伴い、製品がどんどん高機能化してきている。そのため従来であれば流通段階での打合わせだけで問題なく納められていたものが、最近は工務店や大工、さらにはエンドユーザーとまで直接打合わせなければならなくなってきた。これらの、いわゆるよく分かっていない人達(ついでに言えば自分勝手な人がかなり多い)と打合わせをするわけであり、当然行き違いや食い違い、最後にはトラブルというケースは数多くなってきてしまう。そう、ある営業マンのぼやきもその度に増えていくのであった。
そんなある日、またも彼を悩ます出来事が起こった。ある新築現場でのこと。
システムキッチンの注文をくれた工務店から電話があった。
「打ち合わせをしたいから、ちょっと現場に来てくれないか」
月に20以上の現場を抱える彼。営業効率を考えれば、いちいち現場になど行っていられない。そのための工夫として図面に注意点を細かく指示し、分かりやすく作成したものを事前に渡すようにしているのである。今回ももちろん渡してあった。
「図面を見れば分かるとおもいますが・・・・・・」
「こんなゴチャゴチャしてんの見たって分からね〜よ。現場に来ないんだったら、注文取り消しちゃうぞ!」
「そ、そんな〜」
仕方なく現場に行き、打合わせをすることになった。
この現場打合せ、細かくて結構大変なのである。配管位置から納まりの寸法まで事細かに指示しなくてはならない。たいていの大工は、その寸法等をその辺のベニヤの切れ端や、柱などへ適当にメモ書きするのである。「普通はノートなどに書くだろう」といつも不安に思うのだが、それが大工というものだ。
この大工も、当然のごとく打合わせた寸法などを柱にメモしていた。そんなところに書くのであれば、この間渡した図面のほうがどう考えても良いのではないか。何故わざわざ呼び出されなければならないのだ。そう彼は思ったが、何はともあれ面倒臭い現場打合せも終わり、後は納入だけとなった。これ以上の手間はかかるまいと自分に言い聞かせた。
ところが数日後、またもやあの大工から現場に来てくれとの連絡が入った。
「どうしてまた行かなくてはならないんだ、忙しいのに!!」
彼はそうぼやきながら現場へ。大工は彼を見るとこう言った。
「寸法が分からなくなったからさ、もう一度打合わせしてくれよ」
「えっ、この間打ち合わせして、確かどこかの柱に書いてましたよね」
「ああ、あれな。実はその柱なんだよ」
大工が指差した方向を見てみると、なんと壁が仕上がっているではないか。
「わり〜わり〜。また使ってやるからよ」
「・・・・・・」
体の力が抜けてしまった。