リフォームするならこのお店 --- コラム1 --- 
 
 
 
 
 
   
 
   
  「はい、このタイプでよろしいですね」
この日彼は、キッチンの打ち合わせのために現場にいた。
まず施主と商品の打合せを終え、そのあとは、例のごとく工務店との現場納まりの打合せである。
この現場はいわゆる増築現場で、今はまだ基礎を打ち、柱を立てたばかりの状況であった。リフォームの打ち合わせは、総じて難しいわけだが、このような何もない状態の場合は、打ち合わせはやりやすい。
「キッチンの寸法が2550ですから、給水給湯の位置はここで、排水はここになります」
「うん、わかった。業者にやらせとくよ」
「はい、お願いします」
彼は一通り納まりを説明すると、ホッと一息ついて、むき出しのままの基礎に腰掛けた。と、そのときだった。彼のお尻に激痛が走ったのだ。
「イタッ!!」
慌てて立ち上がり座ったところを見てみると、なんと針金のようなものが突き出ているではないか。どうやらそこに座ってしまったらしい。いやな予感。彼は恐る恐るお尻に手をやった。すると案の定ズボンはビリビリで、パンツまで穴が開いていた。
「どうしたの」
先ほどまで、キッチンの仕様決めを一緒にやっていた施主の奥さんが、この異変に気が付いた。
「はぁ、ちょっとズボンが切れてしまったようで…」
「あら大変。すぐに縫ってあげるから、ズボンをお貸しなさい」
そうは言うものの、こんなところでパンツ一丁になることはできない。モジモジと、どうしたものかと悩んでいると、「困ったときはお互い様よ!」とムリヤリズボンを脱がされてしまった。
情けなくも、パンツ一丁になってしまった彼。しかし現場は待ってくれない。
「お〜い、ここの納まりはどうするんだ!」
「は、はい、そこはですね……」
「ハッハッハ、そんな格好で説明されても説得力ないな」
「はぁ……」
しばらくすると、水道屋さんやガス屋さんなど、下請けの業者さんたちも打ち合わせにやってきた。事の成り行きを知らない彼ら。現場は騒然となった。
「おい。メーカーの営業マンがパンツ一丁になってるぞ!」
「なんだ、なんだ。変態営業マンか?」
「いや、あの、これには事情が……」
――奥さん、早くズボンを返して〜。